- 本厚木ピアノ教室講師が、独断と偏見でお送りする -
ピアノ 初心者講座
No.010 〜 逆転の発想 〜
不協和音は、美しい音への第一歩
(後編)
ピアノ初心者講座第9回目は、前回に引き続き、「不協和音」のお話です。
いい意味(美しい)での不協和音と、悪い(汚い)意味での不協和音の違いについて、考えてみます。
○例えば、汚い使い方というと、どんなものがあるでしょうか??
わたしは、個人的に不協和音の代表は短2度の関係にある2音だと考えています。
短2度というのは、白い鍵盤、黒い鍵盤かかわらず、まとなり同士の音のことを言います。
例えば、「ド」に対する「ド」シャープの関係です。
この2つの音の関係(距離)は、鍵盤を同時に弾いてみたら分かると思うのですが、とても汚い、「The 不協和音」です。
試しに、人差し指と中指を揃えた状態で、ペダルを踏んで、不規則適当に2つの鍵盤を同時押し、かつ鍵盤の下から上まで使ってランダムで弾いてみて下さい。
お化け屋敷や、ホラー映画のBGMが出来上がりましたか?
これは結局、不協和音→汚い→奇妙→怖い
といった作用を狙っていると言えます。
○では反対に、短2度が美しく化ける一例を挙げてみます。
下記のように音を積んでみて下さい。
真ん中の「ド」のすぐ下の「シ」から上に向かって、
「シ」「ド」「ミ」「ソ」「シ」「シ」
と積んでみて下さい。ペダルを踏むとより美し聞こえるかもしれません。
この和音の一番下の「シ」と、その上の「ド」は、短2度の関係にあります。
しかし、どうでしょう?
出てきている音はいい意味での緊張感を持った、とっても美しい音だと思いませんか?
わたし個人の考えですが、不協和音を含んでいながら、トータルで美しい音というのは、とっても重要なことだと思っています。マイナス要素を含んだことでしか得られない美しい響き。これは、単純に協和音で構成された和音には手の届かない部分ではないだろうか?と思っています。
上記はほんの一例ですが、「不協和音」または「不協」を生かすという考え方は、何も和音のみならず、メロディーや、もしかしたらリズムにも言えることかもしれません。
音楽の考え方の重要な一部分として、そんな視点で楽譜を見ていくのも楽しいかもしれません。