- 本厚木ピアノ教室講師が、独断と偏見でお送りする -
ピアノ 初心者講座
No.007 〜 精神論でも、気持ちは意外と伝わるのかもしれない 〜
鍵盤の弾き方は、強い、弱いだけでは無いと思う。
(前編)
さて、ピアノ初心者講座、第七回目のお題は、「鍵盤を弾き方は、強い、弱いだけでは無い」というお話です。
ご存知の方も多いと思いますが、音楽には、「p」ピアノや「f」フォルテといった強弱記号があります。
例えば、
「p」ピアノといえばどんなイメージでしょう?
→弱い、可愛らしい、そーっと弾く。
反対に
「f」はどうでしょう?
→強い。堂々としている。派手 etc...
演奏家は基本的に楽譜に書いてあるこの指示に従って、強く弾いたり弱く弾いたりする訳ですが、そもそもこの強弱記号、どのような経緯でつけられているのか、楽曲の生みの親である作曲家の気持ちになって考えてみるところから始めてみようと思います。
例えば、こんな情景を想い浮かべてみて下さい。
「場面は中世のヨーロッパ。真夜中。牢獄に閉じ込められている主人公。周りは森に囲まれていて、人気はなく、聞こえるのはオオカミの鳴き声や森の音。真っ暗な牢獄に差し込む月明かりだけが、彼にとっての唯一の希望であり、濡れ衣を着せられた主人公は、悔しさと悲しみに暮れながら、愛する恋人のことを想っている」
(少々クサイですが、)こんな設定があったとします。
こんな映画のワンシーンに、仮に曲をつけるとしたら、どういった強弱記号を用いるだろう??
まずカメラが森を捉え、そこからゆっくりと牢屋へアングルが移動している頃、、、
場面はひっそりとした森であり、真夜中なだけに、きっと強弱記号は「p」や「mp」といったような、「弱く」の属性に入るものとなるだろう。ここまではきっと問題無い。しかしながら、
その後、カメラが主人公を捉え、悲しみに暮れた末に涙がこぼれ、悲しみを押し殺すかのように強く手のひらを握りしめるシーンがあったらどうなるでしょう?
場面が変わった訳ではないので、基本的にひっそりしていることには変わらない。しかしながら、主人公の心のうちには、きっとそれとは相反して、強い悲しみ、強い憎しみ、強い絶望感があって、、
しかし叫ぶでも無く、立ち上がるでもなく、ひたすら押し殺すような、、、
ポイントはここです。
つまり、一概に、強弱記号で「強い」だ「弱い」だと言っても、その音量面での「強弱」と、気持ちの部分での「強弱」とは全く違うということです。
つまり、「p」という表記の中にも、ものすごーくたっくさんの重く力強い感情が込められていることも多々あるということです。
言ってみれば、音量は「p」だけど、感情は「f」ということです。
でも、作曲家の立場で考えれば、「強弱記号」っていうくらいですから、楽譜にはとりあえず強弱指示の意味で、「p」と書くと思うのですね。わたしは。
なので、これまた厄介な問題なのですが、やはり楽譜に書いてある指示記号の裏側を やはり考えなくてはいけないと思うのです。その曲を書いた人がどのような意図でそう書いたのか。。
これは、はっきり言って、想像の範囲を超えないとわたしは思います。
作曲家の意図とはそぐわない過大な解釈、過少な解釈も、ゴロゴロ転がっているはずです。
しかしながら、どうせ他人のコト。100パーセントの正解など無いのですから、せっかく音楽を楽しむのであれば、自己満足でも構わないので、とにかく自分の感性を膨らませて、「きっとこうなんじゃないかなぁ?」
なんて考えながら、楽曲や作曲家と向き合ったらいいんじゃないかなぁ?なんて、わたしは思います。
少々横道にそれましたが、音量は「p」。だけど気持ちは「f」
こんな場合、どのような弾き方をすれば良いのか??
ここからがむしろ本題な訳ですが、また長くなりそうなので(笑)
この続きはまた次回お話させて頂きます。