- 本厚木ピアノ教室講師が、独断と偏見でお送りする -
ピアノ 初心者講座
No.009 〜 逆転の発想 〜
不協和音は、美しい音への第一歩
(前編)
ピアノ初心者講座、第9回目は、「不協和音」を題材にしたいと思います。
不協和音と言うと、きっと皆さんのイメージは、「汚い」とか、「濁る」だとか、そういったマイナスのイメージなのではないかと思います。実際にわたしも、以前までは当たり前のようにそのように理解していました。
しかしながら、しばらくしてから、その認識は誰に教わったわけでも無いのですが、覆されることとなりました。
不協和音という名称は、時として、緊張感(テンション)という別名で表現されることがしばしばあります。
確かに、不協和音というのは音と音がぶつかり合っているせいで、協和している和音に比べて緊張感(緊迫感)が高まっているので、その呼び方も納得のいくところです。
では反対に、協和している音楽には緊張感はないのか?
と言われると、一概に無いとは言いづらいですが、少なくとも、和音とメロディーのみに焦点をあてた場合は、「緊張感は無い」と言ってしまっていい気がします。
音を縦で捉えても、横で捉えても、協和しているような楽曲は、お手本のようにある意味評価される楽曲かもしれませんが、反対に、安定しきった、ひっかかりのない、優等生すぎる楽曲とも言えるのではないでしょうか??
なんだか人間社会とも似ているような。。
真面目で優等生、常に正論で生きている人が皆に100%好かれるとは限らないですよね?時にはしたたかに、時には不安定になったりしてこそ、人間らしいとも言える。未完成だからこそ愛着が湧いたり、、
音楽でも、それは一緒で、協和ばかりで成り立っている音楽というのは、他人から文句こそ言われませんが、それ以上でもそれ以下でもない。
一方、不協和音の要素をちりばめた音楽というのは、ただの聞き苦しい音楽になるリスクこそ含んでいるものの、使い方次第で、前者を上回ることが多いと思うのです。
ちなみに個人的には、汚い(不協和音)要素を含めば含んだ分だけ、協和音では手のとどかない美しい響きを得られると考えています。
では次に着目したい点は、この緊張感が、いい意味での緊張感なのか、悪い意味での緊張感なのかという「使い方次第」の部分です。この続きは、次回お話したいと思います。